ACL(前十字靭帯)をケガして再建手術を受けた人向けに、自分の実体験を紹介します。
ネットには医療的な情報は多いけど、実際の生活・リハビリのリアルな感覚は少ない。
今回は「手術後1〜3ヶ月の流れ」をまとめるので、同じ状況の方やこれから手術する方の参考になれば嬉しいです。
前十字靭帯再建手術とは?
前十字靭帯(ACL)は、膝の安定性を保つためにとても重要な靭帯です。特にスポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地で大きな負荷がかかり、断裂してしまうことがあります。野球、サッカー、バスケットボールなど、切り返し動作の多い競技ではよく起こるケガのひとつです。
一度切れてしまった前十字靭帯は自然にくっつくことがほとんどありません。そのため、スポーツに復帰したい人や、日常生活でも膝の不安定感が強い人は**「再建手術」**を受けるケースが多いです。
再建手術では、自分の**ハムストリング腱(もも裏の腱)や膝蓋腱(お皿の下の腱)**を移植して、新しい靭帯を作ります。手術後は膝が安定しますが、すぐに元通りに動けるわけではなく、リハビリを長期間続ける必要があります。
一般的に、
• 軽いジョギング:術後3〜4ヶ月
• 練習復帰:術後6〜9ヶ月
• 試合復帰:術後9〜12ヶ月以上
といった流れで進むことが多いですが、回復スピードは人によって異なります。だからこそ、焦らずにリハビリを積み重ねることがとても大切になります。
手術〜1ヶ月目の状態【体験談】
手術直後は正直、思っていた以上に大変でした。
膝はしっかり固定されていて、ベットから起き上がることも一苦労というような、数日は松葉杖なしでは動けない状態でした。
術後1週目
術後1周目は、膝の可動域は制限されており、曲げ伸ばしすることは禁止されている状態です。
この段階のリハビリメニューとしては、膝の曲げ伸ばしは、禁止しながら「足を上げる」動作を繰り返し行い、太ももの筋肉が落ちすぎないようにトレーニングをしました。
個人的に驚いたのは、太ももの筋肉(大腿四頭筋)が一気に落ちていくこと。たった数日動かさないだけで、足が細くなっていくのが目に見えてわかりました。
術後2〜3週目
本格的なリハビリのスタート(膝を少しずつ曲げる・伸ばす)
足首を動かす運動や、太ももを軽く使うトレーニングも開始
この段階では、少しずつ松葉杖を使って少し歩けるようになる
痛みは残るけど、動かすと少しずつ感覚が戻ってくる
リハビリは本当に地味で、毎日同じ動きを繰り返すことが多いです。
でも、**「昨日より少し膝が曲がるようになった」**という小さな進歩が、モチベーションにつながりました。
術後4週目(1ヶ月)
松葉杖を片方にして、ゆっくり歩けるようになる
膝の腫れは落ち着いてきて、日常生活も少し楽に
自転車エルゴ(固定バイク)を軽くこげるようになった
1ヶ月経った時点で、「ようやくリハビリが軌道に乗ってきた」という感覚でした。
まだ走るのはもちろん無理ですが、回復の手応えを感じられたのはこの頃です。
術後2ヶ月目の状態【体験談】
1ヶ月目を乗り越えて、2ヶ月目に入ると日常生活がかなり楽になったと感じました。
ただし、まだ膝の不安定感は残っていて、「完全に治った!」という感覚には程遠いです。
リハビリ内容
可動域トレーニングはほぼ膝がしっかり曲がるまで到達
筋トレを少しずつ強化(レッグエクステンション、ヒップリフトなど)
自転車エルゴを継続して、筋持久力をアップ
プールでのウォーキングを取り入れることもあり、膝への負担が少なく動ける
リハビリの幅が広がり、「トレーニングしている」という感覚が戻ってきました。
日常生活での変化
・ 松葉杖を完全に外して歩行可能に
• 階段の上り下りも少しずつスムーズに
• 膝の腫れや痛みは減ったが、長時間歩くとまだ膝が重く感じる
外を普通に歩けるようになったのは嬉しい反面、急に方向を変える動きや早歩きはまだ怖さがあります。
心境の変化
2ヶ月目は「やっと動ける!」という喜びと同時に、
「本当に前のようにスポーツ復帰できるのかな…」という不安が強く出てきた時期でもありました。
でも、理学療法士の先生に「ここからは筋力を戻せば一気に変わる」と言われたことで、気持ちを切り替えられました。
術後3ヶ月目の状態【体験談】
3ヶ月目に入ると、リハビリの成果を実感できる場面が一気に増えました。
「まだ完全復帰は遠いけど、ここまで戻ってきた!」と感じられるのがこの時期です。
リハビリ内容
筋トレの負荷を少しずつアップ(スクワットや片足トレーニングを軽めに開始)
ランニングマシンでの軽いジョグがスタート
バランストレーニング(片足立ち、バランスボードなど)
ハムストリングや臀部の筋力強化を重点的に行う
ここからは「ただ動かす」だけでなく、競技復帰を見据えたトレーニングに移行していきました。
日常生活での変化
長時間歩いても膝の痛みや腫れがほとんどなくなった
階段の昇り降りがスムーズにできるように
軽いランニングができた瞬間は「ここまで来た!」と感動
ただし、急なストップ動作や方向転換はまだ怖く、膝をかばってしまうこともありました。
心境の変化
リハビリを始めた頃は「先が長い…」と感じていたのに、3ヶ月経つと明らかに進歩が見えるので、気持ちが前向きになりました。
「やれば必ず戻れる」という自信がついたのもこの頃です。
一方で、焦って動きすぎると膝に違和感が出ることもあり、無理をしないことの大切さも学びました。
リハビリで大切にしたこと
1. 無理をしない・焦らない
・ 術後は「早く復帰したい!」という気持ちが強くなるけど、焦りは禁物。
・ 2歩進んで1歩下がるような回復の流れが普通。
・ 痛みや腫れが出たら、休む勇気も大事。
2. トレーナーや理学療法士の指示を守る
• 独自の判断でトレーニングを増やすと逆効果になることも。
• 専門家のアドバイスを受けながら「段階を踏む」ことが回復の近道。
• 不安なことはその都度質問するようにした。
3. 基礎筋力の回復を最優先
• 可動域を広げることも大事だけど、やっぱり「筋力」が一番の土台。
• 特に大腿四頭筋やハムストリングは意識して鍛える。
• ここが戻らないと、膝の安定感も出てこない。
4. 栄養・睡眠をしっかり確保
• 筋肉や靭帯の回復にはタンパク質やビタミン・ミネラルが不可欠。
• サプリ(プロテイン・HMB・亜鉛など)を取り入れて効率アップ。
• 睡眠の質を高めることで、翌日の回復が全然違うと実感した。
5. メンタルケアも忘れない
• リハビリは長期戦なので、気持ちが落ち込む日もある。
• 「昨日より1ミリでも進歩してる」と考えるようにした。
• 小さな成功体験を積み重ねて、モチベーションを維持。
これから前十字靭帯再建手術を受ける人へのアドバイス
前十字靭帯の再建手術は、術後のリハビリがとても長く、正直しんどい時期もあります。
でも、僕自身が経験して強く感じたのは、**「焦らずに取り組めば必ず回復できる」**ということです。
1. 回復のスピードは人それぞれ
ネットには「3ヶ月でランニング」「半年で競技復帰」など目安が書かれていますが、実際には人によって大きく差があります。
他人と比べて焦るよりも、自分のペースで確実に進むことが大事です。
2. 小さな進歩を喜ぶこと
膝が少し曲がった、松葉杖なしで歩けた、自転車をこげた…
一見小さな変化でも、それは確実な前進です。
リハビリはその積み重ねで大きな成果につながります。
3. サポートを活用する
• 理学療法士やトレーナーに相談する
• 必要ならサプリやリハビリ器具を取り入れる
• 家族や仲間に経過を話すことで気持ちも前向きに保てる
僕の場合は、プロテインやHMBなどのサプリも取り入れて、筋肉の回復を意識することや、
リハビリの専門家と毎月ミーティングを行い、今後のトレーニング計画を常に見直しながら取り組みました。
4. メンタル面を大切に
一番つらいのは「本当に元に戻れるのか」という不安です。
でも、リハビリを続ければ必ず身体は応えてくれます。
「また動ける自分」をイメージして取り組むことで、気持ちが折れにくくなります。
まとめ
前十字靭帯再建手術からの1〜3ヶ月は“地道な積み重ね”が大切
• 術後1ヶ月目:松葉杖や可動域訓練が中心で、筋肉の衰えに驚く時期
• 術後2ヶ月目:日常生活が楽になり、筋トレや自転車などトレーニングの幅が広がる
• 術後3ヶ月目:軽いランニングが可能になり、回復の手応えを実感できる
前十字靭帯再建手術後のリハビリは、決して一気に進むものではなく、コツコツ積み重ねる過程です。
焦らずに続けることで、必ず「動ける自分」に近づいていきます。
僕自身もリハビリ中に不安になることが多かったですが、振り返れば「小さな進歩の積み重ね」が大きな回復につながりました。
これから手術やリハビリに取り組む方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
そして同じように挑戦している人が、前向きな気持ちで歩んでいけることを願っています。
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